そういえばオレは
20代前半まで「嫌いな人間」はいなかった。
自分には「誰かを嫌いになる資格」はないと思っていたからだ。
だから、だれかれなく、しおらしくすり寄っていたかもしれない。
それが、塾の講師を始めてから、
嫌いな人間がだんだんとできてきた。
どういうわけだかわからないが、
人との交流がなかった人間が、
徐々に「正味の人間」を知り始めたからかもしれない。
そしてどうだ、
今では周りは嫌いな人間ばかり。
こういうのは「自我の芽生え」などとは呼べないだろう。
だって、年齢が行き過ぎている。
たしかに「自分の利益ばかり考えている人間」が増えているのは事実だ。
それがわかるからかもしれない。
ただ、子供のころからずっと続いているのは、
オレは「愛される資格のない人間」であるということ。
